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学部生が国連女性の地位委員会(CSW)に参加


国連本会議場で傍聴(撮影:田野さん)

国連本会議場で傍聴(撮影:田野さん)

2023年3?6~17?、米国?ニューヨークの国連本部で行われた「国連女性の地位委員会」(UN Commission on the Status of Women)通称CSWに、人文社会学部国際文化学科3年(参加時は2年)の田野詩織さんが参加しました。この会議は女性の地位向上を目的とした会議で、加盟国の代表や国連諸機関の他、協議資格のあるNGOの関係者らが出席します。田野さんはNGOの1つ「日本YWCA」の代表メンバーの一員として出席し、イベントの企画?発表などに携わりました。

【報告者】人文社会学部 国際文化学科3年 田野詩織さん

私は今年の春休み、日本YWCA から派遣され、国連女性の地位委員会に参加しました。派遣にあたっては、まず名古屋YWCAの参加募集に応募、同組織の推薦を受けた上で、CSWに出席する日本YWCAのメンバー5人のうちの1人として選抜され、10月~3月の事前準備会を経て臨みました。代表メンバーはみな私と同世代の大学生で、若い女性の視点ならではのイベントを開催することができました。

本会議と並行して行われる英語でのパラレルイベントを主催

国連本部近くの会議場で行われたパラレルイベントで(右から2人目が田野さん)

国連本部近くの会議場で行われたパラレルイベントで(右から2人目が田野さん)

CSWにおいて、NGOは政府や国連機関に情報提供や提言を行う主体として、文書提出、発言、イベント実施等の役割を担っています。今年の会議の優先テーマは「ジェンダー平等とすべての女性?少女のエンパワメント達成のための、デジタル時代における革新、技術変革及び養育」。
私たちも、このテーマに沿った「ソーシャルメディアと性的搾取:日本の若い女性の視点から」というタイトルで、本会議と並行して行われる英語でのパラレルイベントを主催しました。オンラインZoomと現地ニューヨークのハイブリット開催で、オンラインと対面合わせて合計100人ほどの人に出席していただくことができました。
主な発表内容は、次のようなものです。

参加者に説明をする田野さん(右)

参加者に説明をする田野さん(右)

1 日本のメディアとジェンダーという視点から、マスメディアのジェンダーバイアスについて、女子アナとテレビドラマにおけるジェンダーバイアスを取り上げて紹介した。
2 マスメディアの章として、主に日本のメディア業界で蔓延しているルッキズムとエイジズムを取り上げた。
3 ソーシャルメディアとオンラインでの子供の性的搾取についての問題を分析し、その解決案と展望について説明した。
4 ソーシャルメディアの章として、実例を用いながら急速な技術の発展とコロナ禍により急増している子どものオンラインでの性的搾取の深刻性を訴えた。
5 最後に、参加者にも「自分ごと」として捉えてほしいという思いから、アウトプットパートとして解決に向けたアクションを一緒に考えてもらう時間を設けた。
対面の参加者向け 付箋を配り、アクションプランを出してもらい、模造紙に貼って共有。ハートのシールを配り、参加者同士で共感?賛同した意見に貼ってもらうなど、参加者同士でもコミュニケーションを取れるよう計画した。
オンラインの参加者向け Miroというオンラインホワイトボードを用い、アクションプランの作成や共有することで、対面の参加者と同様にインタラクティブな時間を作ることができた。

子どもの性的被害防止アプリ「コドマモ」を紹介

私たちのプレゼンテーションの中でも特に、オンラインでの性的搾取から子どもを守るアプリ「コドマモ」について高い関心が寄せられました。
このアプリは、愛知県警の依頼で藤田医科大学とアプリ提供会社スマートブックスが開発したもので、子どもが自撮りしたわいせつ画像をAIが自動検知し削除を促すとともに、保護者に通知することで写真送信を未然に防ぐというものです。
アプリへの関心の高さに比例して、私たちの発表についてもメンバーの一人が住む島根県で取材を受け、県内のNHKニュースで放送されたほか、山陰中央新聞や佐賀新聞、海外でもインドの全国紙『Dainik Jagran』、その他複数のウェブ記事で取り上げられるなど大きな反響がありました。
イベントに参加しなかった人々に対しても、オンラインでの子供の性的搾取についての啓蒙活動ができ、イベント外での達成感もありました。

「コドマモ」を紹介するメンバーの発表を聞く田野さん(写真左)

「コドマモ」を紹介するメンバーの発表を聞く田野さん(写真左)

技術や娯楽の発展は著しく、私達はそのありがたさを日々実感しています。しかし、その発展した技術は時には私達を苦しめる道具にもなります。今後も成長していく技術とともに、私達の技術の使い方も成長し、書き換えていかなければならないと実感した国連女性の地位委員会でした。