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注意の初期発達:「見る」からこころへ



担当者 中川敦子:人間文化研究科(心理教育学科)、教授、(専門分野)認知神経心理学
赤ちゃんにじいっと見つめられて嬉しくなった経験はありませんか?実は赤ちゃんの目は生後3か月頃まで、刺激に捉えられたらそれに釘付けになってしまうのです。見ている対象から目を解放する(そらす)能力が急激に発達するのは、生後4か月にかけてです。その後、次第に自分で目を向ける先をコントロールできるようになり、保護者の先にある世界を探索し、社会性を身につけていくと考えられています。
当研究室では乳幼児に研究協力してもらい、眼球運動を計測して注意の初期発達を調べています。視覚的な注意は、一時的に乳幼児をなだめることにも関わります。ぐずっている時、別の刺激に注意を向けさせて、児の気をまぎらわせようとする養育者は少なくありません。ネガティブな情動のコントロールに関連する、目をそらすという行動は、乳児期から存在し、成人の情動制御の側面となっていると考えられるのです。そこで、このような初期の注意を上手に育むことが、将来の"気晴らし上手"を育てること、養育者の子育てを楽にすることにつながる可能性を考えて、注意機能の個人差を検討しています。